東京高等裁判所 昭和45年(ラ)849号 決定
相手方提出の資料によれば、相手方大学においては不可缺な実質的な入学手続の一環として、入学を許可された者(留学生たると本邦学生たるとをとわない。)が、所定の最初の履習科目登録をなすことを定めており(この点は、直接学則の定めるところではないが、学則に基づき入学手続の細目を定める権限ある相手方大学の機関により定められ、実施されてきているところである。)、右登録をふくむ入学手続を完了することによつてはじめて、入学を許可された者は相手方大学の学生たる身分(地位)を取得し、相手方大学の提供する授業を受け、その諸施設を利用する等の学生としての権利を取得し義務を負うに至るものであつて、相手方から入学を許可されてはいるが、右入学手続(右登録をふくむ。)を完了していないものは、いまだ相手方大学の学生たるの身分を取得しているものではないこと(右のような、入学手続未了の者の地位にも、それに相応する権利義務が生ずるものであるが、その地位をもつて、入学手続を完了してはじめて発生する学生たる身分(地位)と同視することはできない。)、抗告人らは前記登録を拒否したため、相手方大学の入学手続を完了していないものであり、したがつて相手方大学の学生たる身分を取得するに至つていないこと、もつとも抗告人らに対しては抗告人ら主張のように、相手方大学の寮に入寮することが許可されたり、学生証が交付されているが、これは、相手方大学の事務関係者が、入学手続を当然完了するものと予想し、事前に抗告人らの利益を慮り、便宜上とつた処置であつて、これを以て前記登録その他の入学手続を省きうるものでもなく、またそれに代え得るものでもないことが一応認められ、この認定を覆すに足る資料はない。
右の事実関係によれば、抗告人らは、相手方大学から入学を許可されて本邦に入国したにもかかわらず、前記登録を拒否し、ひいて入学手続を完了しなかつたゝめに、相手方大学の学生たる身分(地位)を取得するに至らなかつたものと解すべきである。
(柳川 後藤 平田)